夢野久作(1889–1936)
福岡県福岡市生まれの小説家・随筆家。本名・杉山泰道。父は玄洋社系の右翼運動家・杉山茂丸。慶應義塾大学を中退後、農業、僧侶、新聞記者など多彩な経歴を経て探偵小説作家として独立した。
1926年デビュー作『あやかしの鼓』以降、日本探偵小説の幻想派の代表として独自の地位を築く。代表作は1935年発表の長編『ドグラ・マグラ』。精神病院を舞台に夢と現実、自我と狂気が幾重にも錯綜する大作で、江戸川乱歩の『黒蜥蜴』、小栗虫太郎『黒死館殺人事件』と並ぶ「日本探偵小説三大奇書」のひとつに数えられる。
他に『瓶詰の地獄』『少女地獄』『氷の涯』『犬神博士』など。文体・主題ともに尋常ならざる作風で、現在も熱烈な愛読者を持つ。47歳で脳溢血により急逝。